DXにおけるデータ・ドリブンマネジメントの第一歩とは

データ・ドリブン思考については、賛否両論、さまざまなことが言われていますが、AI時代には欠かせない思考です。組織としてデータ・ドリブンになれない、個人としてデータ・ドリブンになれないと、確実にAI時代を生き残っていくことはできません。

なぜデータ・ドリブンが否定されるのか

Webでデータ・ドリブンで検索すると、勧めてくる記事と、否定する記事に大きく2分されます。

データ・ドリブンを否定している人たちが言っている理由は大きく下記の2つです。

  1. 今あるデータを分析しても意味がない
  2. データ・ドリブンは積み上げ思考なので目標からの逆算思考にしないといけない

しかし、これらを理由にデータ・ドリブン思考を否定するのはそもそも間違っています。

今あるデータを分析しても意味がない?

統計的思考をちゃんと持っている人からすると、データはどんなに集まったとしても「サンプル」に過ぎません。大切なのはそのデータが「代表性」をちゃんと確保できているかということと、代表性を持っていないなら、どうすれば代表性を担保できるかを考え、計画をたて、行動に移すことだと知っています。

母集団をいかに設定し、サンプルと母集団をいかに近づけるべきかを論じるべきであって、「今あるデータは見ても意味がない」という意見は、完全に非科学的、非統計的であって全くナンセンスな発言です。

データ・ドリブンは積み上げ思考?

データ・ドリブンは、「目的・目標を実現するために、データを参考にして意思決定していこう」というものであって、「データを元にして目標を決めよう」というものではありません。

もちろん、データを元に判断して、目標と達成までの期間があまりにも無謀であれば見直す必要が出てくることも多々あるでしょう。

しかし、本質はそこではなく、あくまで「目標を実現する」ために「必要なデータを収集し分析」して意思決定に活かすということです。

データ・ドリブンは「逆算思考」のための補助を担う必要なツールであって、データ・ドリブンで計画を積み上げで立てようというのはデータドリブンではありません。あくまで目標ありきでデータを活用するべきものなのです。

データ・ドリブンであろうがなかろうが大きくかつストレッチしても実現可能な目標を立てるのは前提であり当たり前のことです。積み上げという意見自体が間違っています。

大切なのは目標設定能力

データ・ドリブンの一歩目として「適切な目標設定能力」と「計画力」が欠かせません。

目標なくデータを分析しても全く意味がないのです。

何を達成するのか、そのために、誰にどんな価値をどのように提供するのか、それが明確にならないまま、データが溜まっているから分析というようなアプローチは、無駄なコストになるだけの可能性が高くなります。

もちろん、組織に余力があるなら、リサーチとしての分析をするに越したことはありませんが、なんのために分析するのか、どんなデータを集めるべきなのかを明確にしないで分析だけ先行させても仕方ないのです。

目標設定とは目標と手段を明文化する力

目標を設定するとは、人に伝わり、実現可能と思われるように設定しなければ組織では意味がありません。

AI時代には、目標設定、目的設定の力こそが人間に求められる能力なのです。

データ・ドリブンの第一歩を踏み出すために、組織のマネジメント層はみんな目的・目標設定能力を高めるべく、人員配置を見直しつつ、適切な目標設定がなされているのかをしっかりと見直しておく必要があるでしょう。